addsomemusic2005-09-02



 音楽仲間のFURUさんのブログを見ていて、最近ジャズ・ネタが増えてきてるな〜と思ったりしてました。彼もジャズの魅力に惹かれてるんでしょうが、そこに待っているのは「底なし沼」だということにもそろそろ気が付いてるでしょうか?(笑)


 なんて意地悪な書き方ですが、それくらいジャズにはハマってしまう魅力がありますよね。私も好きなミュージシャンやアルバムは数え切れないくらいあります。どれが一番好き・・・とかとても選べるようなものでもないですけどね。でも、自信を持って愛聴盤だといえるアルバムはあります。DEXTER GORDONの『BITING THE APPLE』もそんな1枚。テナーのアルバムとしては本当に「一番」といってもいいくらい好きだったりしてます。


 デクスター・ゴードンは40年代から活躍してるんで、コルトレーンソニー・ロリンズよりも上の世代。彼の代表作といえば『ダディ・プレイズ・ザ・ホーン』や『ホット・アンド・クール』、ブルーノートに残した2枚のアルバムあたりでしょうか。それ以降のデクスター・ゴードンはジャズの世界の変化に対応できずヨーロッパへと渡ります。


 コルトレーンはスタイルを大きく変えたし、ロリンズは音色が変わってしまった。でもデクスター・ゴードンは一貫して自分のスタイルを貫き通したんですよね。ただ不器用なだけだったのかもしれません。でも私は彼の男っぽい音色とともに「美学」を感じます。


 70年代のデクスター・ゴードンは時代の波に乗り遅れていたかもしれませんが、彼がこの時期に残したアルバムは50年代の諸作よりも遥かに素晴らしいものだと思っています。1976年にニューヨークで録音されたこの『BITING THE APPLE』の素晴らしいこと。


 ピアノはバリー・ハリス、ベースはサム・ジョーンズ、ドラムはアル・フォスターというメンツで、素晴らしい演奏を聴かせてくれています。最大の聴きどころはゴードンのオリジナルの「APPLE JUMP」でしょうね。ミディアム・テンポのほのぼのとしたナンバーで、ここでの彼のソロは本当に歌心に溢れていて何度聴いても飽きることがありません。他にはスタンダードとして有名な「4月の思い出」「わが心のジョージア」「スカイラーク」あたりを取り上げてるんでとても聴きやすい。CDにはケニー・ドーハムの「ブルー・ボッサ」がボーナスとして収録されていて、これがまた良い。


 とにかくテナーを聴きたいなぁ・・・と思ったらつい聴いちゃうようなアルバムです。あまり注目されていない時代だけど、未聴の方はぜひ!