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普段GSなんてほとんど聴くことがないし、手持ちも有名どころのベスト盤がほとんど。そんな中でもスパイダースの1968年リリースの『明治百年、すぱいだーす七年』は大好きな1枚だったりしてます。いや、本当に名盤だと思いますよ。
曲が良い、アイデアが良い、ジャケが良い、アルバム・タイトルが良い・・・と良いことずくめで、これら全てが揃って初めて名盤の条件を満たすと言っても過言じゃないでしょ。
GSといえば、歌謡曲的な甘いメロディのものや、洋楽のカバーというのがほとんど。でもスパイダースのこのアルバムは全曲メンバーの手によるオリジナルという意欲作で、当時としては最先端とも言えるバラエティに富んだ楽曲が並んでいます。洋楽カバーのアルバムなんかよりも全然優れていますよ。
ハッキリいってビートルズの『サージャント〜』に日本で一番最初に呼応したアルバムだと思います。当時の日本では初めてのトータル・コンセプト・アルバムだったといってもいいんじゃないでしょうか?古いアナログのノイズを曲間に挟んでオールドタイムなトータル性を表現しています。A面の7曲をメンバーそれぞれがリード・ボーカルを1曲ごとにとるというアイデアも面白い。そのおかげか、サイレント・スパイダーの加藤充や大野克夫のボーカルが聴けるというのも貴重ですね。
マチャアキがリードをとる「オツム・コン!コン!」は彼のエンターテイナーぶりをいかんなく発揮していますが、その曲がディキシー調だというのが面白いし、彼らの懐の広さを感じさせますね。かまやつひろしがリードをとる「ミスター・タックス」はひとり多重録音でこれが本当にカッコイイ。シングル・ヒットの「黒ゆりの詩」はサイケなアレンジが最高。ラストの「ブルース・フォー・ウェス」はジャジーなインストでこれがまたスゴイ。これを聴くとスパイダースの底力を嫌というほど感じますね。リアルタイムではないんで全然分かりませんが、当時のGSの中ではスパイダースは音楽的センスや能力に関してはズバ抜けた存在だったのでは?なんて思わされますね。
ずいぶん前ですが「GSはロックじゃない・・・」という話しを聞いた(読んだ?)記憶があります。とんでもない!これがロックじゃなくて何がロックなんだ?と聴きかえしたくなりますよ。世の中に溢れかえってる「はっぴいえんど信者」のように日本語によるロックがウンヌンなんて今となっては時代錯誤ですが、60年代のGS、特にこのスパイダースの『明治百年、すぱいだーす七年』を聴いてもらえれば、日本のロックは60年代から素晴らしいサウンドを世に送り出していたことが痛感できると思います。もちろん他のアルバムにも高いクオリティのものが多いし、他のバンドにも優れたアルバムはたくさん存在していました。
ロックは日本が発祥の地ではないかもしれません。でも60年代半ばには欧米となんらヒケをとらないくらいのクオリティの作品を作り上げていたんですよね。