addsomemusic2006-04-09



 60〜70年代のアメリカン・ロックを王道としながらも、ちょくちょく他の音楽にも浮気をしておりました。それが自分の音楽の幅を広げることにもなったしね。でもその浮気が本気となったことが過去に一度だけあります。大学の終わり頃から聴くようになった「ジャズ」というものに夢中になり、その後2〜3年はジャズしか聴かないという時期がありましたからねぇ。


 ジャズを聴くキッカケなんて本当に些細なもの。単に「ジャズ」って音楽を聴いてみたいなぁというほとんど閃きに近いもの。なんとなくジャズを聴いてるとカッコイイようなイメージがあったわけだ(笑)。それに大人っぽい感じもあったしね。


 もちろん今までジャズなんてま〜ったく聴いたことがなかったんで知識はゼロ。何から買っていいのか分からず、音楽雑誌をペラペラめくって、いわゆる「名盤」といわれてるらしいアルバムでジャケが気に入ったものをメモって中古屋に出かけたわけですよ。馴染みの中古屋で初めてゲットしたジャズのアルバムは今でも覚えているけどレッド・ガーランド『グルーヴィー』、MJQ『ジャンゴ』、ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビイ』の3枚だった(もちろんCD)。意識したわけではないんだけどどれもがピアノ系(MJQはちょっと違うか)のアルバムばかり。普通なら管楽器が入ったものを買えばいいのに、それほどの知識もなかったわけなんですよね。で、これらのアルバムを楽しめたか?と言われれば「NO」でしたねぇ。全く理解できなかったんですよ。ビル・エヴァンスなんて確かにピアノの旋律は美しいなぁと思ったものの、スコット・ラファロの強力なベースがものすごく違和感を感じた。ピアノ・ソロだったらいいのに・・・なんて普通に思いましたから。


 これで「ジャズは向かなかった」と諦めればよかったのに。懲りずにまたもジャズのCDを求めて中古屋に行ったんですよね。この時の数枚買ったと思うけど何を買ったのかはもう覚えていない。でもその中にソニー・ロリンズの『サキソフォン・コロッサス』が含まれていたのが私の人生の大きな転換期になったのかもしれないですね。


 ジャズの名盤として超有名な『サキソフォン・コロッサス』・・・もちろん内容が素晴らしいからこその名盤なわけで、このアルバムを聴いてまだなんとなくだけどジャズの良さが分かったような気がしたんですよね。アドリブなんて理解できないけど、分かりやすいテーマやとてもメロディアスなソロとかが聴いていて本当に心地よかった。あ〜これがジャズなんだ〜と思った瞬間でしたね。


 やはりサックスやトランペットといった管楽器が入ってるほうが聴きやすかった。その後もマイルスやコルトレーンといった有名なものを中心に聴き続けていくうちに、すっかりジャズの虜となってしまったんですよね。ビル・エヴァンスの『ワルツ・フォー・デビイ』で邪魔だと思っていたラファロのベースが「もう最高!」なんて思っちゃうようになるんだから人間の耳ってのは不思議なもんだ(笑)。その後はクレジットにスコット・ラファロの名前があればとにかく買いましたね。


 ジャズの何が良いのか?は自分にも分かりません。でも間違いなく当時の私を熱くさせてくれる音だったことは確かです。本当に数年間はジャズ以外の音楽に全く興味が持てなくなり、まさにジャズ漬けとなっていました。


 また、いつの間にやら自分の本線である70年代アメリカに回帰する時期が来るんですが、この個人史の中での「ジャズ期」は私の音楽の幅や感性を広げる素晴らしい時期だったと今では思っています。