addsomemusic2005-01-22



 ジャズ・・・いわゆるハード・バップ期のミュージシャンの中でソニー・クラークほど日本人に愛されてるジャズ・マンはいないんじゃないでしょうかね?海外ではほとんど評価されていない『COOL STRUTTIN'』はことあるごとに「ジャズ名演アルバム」として取り上げられていて、いまや定番中の定番となっています。ニューヨークの街を闊歩しているかのような素敵なジャケットもあいまって大人気盤ですよね。


 私がジャズにのめり込んだのは20代前半の頃。特に50年代のモダン・ジャズ、とりわけハード・バップが好きで名盤と謳われてるようなアルバムは片っ端から聴きました。そんな中で『COOL STRUTTIN'』はジャケの良さもあってかなり早い時期に聴いたアルバムでしたね。


 何年もジャズを聴いてるとソニー・クラークも『COOL STRUTTIN'』よりも他のアルバムのほうが好きになっていきました。といっても若干31歳でこの世を去ったソニー・クラークですから自身のリーダー・アルバムはたったの3枚しかありません。『COOL STRUTTIN'』以外では『SONNY CLARK TRIO』と題されたブルーノート盤とタイム盤の2枚のピアノ・トリオ・アルバム。この2枚のピアノ・トリオがとてもいいんですよね。


 妥協をしらない名ドラマーのマックス・ローチが完璧な演奏を聴かせるトリオ盤が評価が高いと思うんですが、個人的にはもっとリラックスした感じのほうが好きなんですよね。そんなくつろぎ感がいい意味で成功しているのがブルーノート盤のほうのピアノ・トリオ・アルバム。こちらのドラマーはフィリー・ジョー・ジョーンズ。手抜きとはいいませんがフィリー・ジョーらしいリラックスした感じがとてもいいんですよね。この2枚はまさにドラムの違いで生まれたアルバムだと思います。あとは聴き手のお好みというところ。もちろんソニー・クラークのピアノは両方とも文句のつけようがなく素晴らしいですよ。


 ブルーノート盤はスタンダードばかりを取り上げてるんでとても聴きやすい。個人的な好みでいえば「4月の思い出」と「朝日のようにさわやかに」がベストトラック。「4月の思い出」はその美しいメロディを確かめるように弾くソニークラークが目に浮かびます。単なるハード・バップの枠組に収まらない可能性が感じられるんで、やはり早すぎる死は残念でしょうがないですね。「朝日のようにさわやかに」は個人的に好きな曲なんで、誰が演奏してても好きになっちゃう曲なんです(笑)。やっぱりソニー・ロリンズやMJQの演奏が最高かなぁ。