addsomemusic2006-01-13



 1970年にリリースされた溶け出したガラス箱こそ和製アシッド・フォークの最高傑作の1枚だと思ってます。グループ名はジャケには吐痙唾舐汰伽藍沙箱というなんとも不良の落書きのようなバンド名が書かれてますが面倒なんで「溶け出したガラス箱」ということで。


 この溶け出したガラス箱は西岡たかし、木田高介斉藤哲夫によるユニットで、このアルバム1枚だけを残しています。西岡たかしは五つの赤い風船のメンバーで木田高介はジャックスのメンバーでした。ともにサイケ&アシッド色が濃いバンドだっただけに、この溶け出したガラス箱でもその実験的でサイケ&アシッドな感覚を全面に出しています。


 基本的には全曲の作詞作曲を手がけている西岡たかしのソロに近いと思います。その西岡たかしのアイデアを生かしたのが全アレンジを手がけた木田高介。この二人の才能はもうスゴすぎますね。同時期のアーティストと比べても突出したものを感じます。ボーカルは西岡たかしと斉藤哲夫斉藤哲夫は後に「いまのキミはピカピカに光って」をヒットさせて有名になりますが、それ以前の『バイバイグッドバイサラバイ』や『グッド・タイム・ミュージック』といったアルバムにこそ彼の本領が発揮されていると思います。


 他にも加藤和彦竹田和夫細野晴臣らがバックで参加しているのも興味深いですよね。URCからのリリースなんですが、このレーベルの作品の中では最も作りこまれたアルバムなんじゃないかなと思います。音数も多いし(笑)。


 1曲目の「あんまり深すぎて」のイントロ一発でサイケです。なんとも情緒を不安定にさせるような旋律にクラクラきます。割りとオーソドックスなスタイルのフォークもありますが、そのどれもが複雑で不思議なアレンジがされていて、これまたクラクラきちゃいます(笑)。


 海外でも高く評価されているアルバムです。こーゆーのを聴くとこの時期の日本の音楽も欧米と全然遜色ないなぁと思うんだけどねぇ。