addsomemusic2006-01-29



 毎週日曜のレギュラー・プログラム「人に歴史あり」。先週はインフルエンザで飛んじゃった。日曜なら安定して毎回書けるだろう・・・なんて思ってたのにけっこう飛び飛びだったりします。


 前回と前々回で音楽に接する方法として「エアチェック」と「レンタル・レコード」を取り上げました。さて今回は高校生以来頻繁に利用することとなる「中古レコード屋」の話し。


 私が高校生の頃には広島に中古レコード屋って数えるほどしかなかった(今もだけど)。そんな中で広島では長くやっている「グルーヴィン」というお店。私が生まれて初めて中古屋の扉を開けたのはこの店だったし、この後この店に入り浸りになることで人生大きく曲がってしまった(笑)。というより多くの音楽を吸収できたんですよね。


 私は広島の田舎町に住んでいました。中古屋がある町に出るには電車に揺られて小一時間かけて行かなければいけないんですよね。グルーヴィンの存在は知っていました。親と一緒に車で町に出かけたときにその窓から見えてたんですよ。「あ〜あそこに中古屋なるものがあるぞ。一度行ってみたいなぁ・・・」なんて思ってましたね。電車の往復運賃もバカにならないからそうそう行けるもんでもなかったけど、高校のときに何度となく行った覚えはあります。一番よく利用したのは、陸上部だったんで、陸上の大会とかが町のほうである時には帰りに寄ったりしてました。陸上の大会とかなら電車賃とか貰えるもんね(笑)。ジャージ姿でレコードを小脇に抱えて電車で帰ってる姿は今思うと不気味だな(笑)。


 グルーヴィンは今では広島にも数件ありますが、当時は駅前店1件だけでした(JRAの向かいの店ね)。今では店でほとんど見かけることもなくなってしまったけど、当時は社長がいつも店に座ってましたね。あと内藤さん。その節はいろいろとお世話になりました(笑)。高校生の時に初めて行って何を買ったのかは全然覚えていない。たぶんラジオや雑誌で仕入れた情報で70年代ロックの安い再発盤とかそんなのを買ったと思う。とりたてて珍しいものを買ったことはないと思うけど、社長にはすぐに顔を覚えられたなぁ。2、3回目くらいには「お〜また来たか」みたいな感じでした。人当たりもよく本当に優しいオジサンでしたねぇ。口はちょっと悪かったけど(笑)。


 当時は70年代の音に興味があっていろいろ手探りで情報を探していました。そんな中で当時本当に聴いてみたいと思っていたのがVAN DYKE PARKSの『SONG CYCLE』でした。大滝詠一が好きでその流れではっぴいえんどを聴いていたんですが、そのはっぴいえんどの「さよならアメリカさよならニッポン」にVAN DYKE PARKSのクレジットがあったんですよ。中3の頃にはオール・トゥゲザー・ナウではっぴいえんどは再結成していたんで雑誌などにも頻繁に載っていました。それらの情報で得た中で興味を持ったのがなぜかVAN DYKE PARKS(笑)。もちろん近所のレコ屋に売ってるはずもなく、当然この『SONG CYCLE』を求めてグルーヴィンへと行ったんですよね。


 そこには安い再発盤(EDSELのヤツね)だけど『SONG CYCLE』が確かに置いてありました。もう嬉しくってレジに持っていったんですよ。そしたら社長が「そんなヘンなの買うな!」といって怒るんですよ(笑)。まぁ確かにヘンなアルバムかもしれない。私だって高校生にはもっとかっこいいアメリカン・ロックとかをススメルだろうしね。でもそこは社長に抵抗して買って帰ったんですよね。聴いてみたらどこからどこまでが1曲なのかよく分からない音でした(笑)。でも高校生ってのはせっかく買ったものは元を取るまで繰り返し聴いちゃうものなんですよね。何度となく繰り返し聴きいつしか『SONG CYCLE』の魅力に取りつかれてしまったわけだ。今に至る私のVAN DYKE PARKS好きはこの時から始まったというわけだ。


 こんな社長とのやりあいは今では良い思い出ですねぇ。これ以降、現在に至るまでグルーヴィンとの長きに渡たる付き合いが続いております。