addsomemusic2006-06-10



 昨日に引き続きニルソンでも。


 すでにニルソンの初期4枚が大好きだと書きましたが、今回取り上げるのがその4枚目。1970年リリースの『NILSSON SINGS NEWMAN』なんですが、タイトルの通り全曲がランディ・ニューマンの曲という異色作。でもランディ・ニューマンもニルソンもボーカル・スタイルこそ違うものの、二人の書く曲にはある種の共通点を感じさせます。そんなわけで全く違和感なく、やはりニルソンのアルバムとして仕上がっているのはある意味で驚異的だと思いますね。


 ニルソン自身は次作のテレビ・アニメのサントラ『オブリオの不思議な旅』の製作に没頭していたとか。だから安直なカバー・アルバム・・・となったのかもしれないけど、やはり完璧主義のニルソンらしく、しっかりと作りこまれている印象。演奏自体はランディ・ニューマンによるピアノが中心に最低限度のバッキングが伴う程度なんですが、ボーカルは100回以上のオーバーダビングを繰り返したという噂通り、素晴らしい仕上がりになっています。


 全編通しても25分あまりの短い作品。でもこれが珠玉の25分だったりします。ランディ・ニューマンの楽曲にニルソンの歌声の組み合わせの心地よさといったらないですね。1曲目の「VINE ST.」はランディ・ニューマン自身はもとより、ヴァン・ダイク・パークスも取り上げていますね。その3人による曲がどれもイントロが違うというのが面白い。「LOVE SONG」はタイトル通りに美しすぎる名曲。アルバムは後半(B面)の流れが完璧で片面通してひとつの作品なのでは?と思わせます。


 ニルソン自身が素晴らしいソングライターであるにもかかわらず、敢えてそれを封印したアルバム。確かに異色作ながらこのアルバムが1番好きという人も多いです。やはりニルソンの素晴らしい楽曲が聴けないというジレンマは残るものの、やはりこれは名盤でしょ。