addsomemusic2006-08-27



 60年代終わり頃のバンドで「ニューヨーク」という街を思わせるのは私にとってはフィフス・アヴェニュー・バンドとシティに尽きます。ともにシティ・ポップといえるメロディにクールな情感も感じさせてくれます。とても洗練されていて都会的な音。田舎臭いカントリー・フレイヴァー溢れたサウンドも好きなんですが、フィフス・アヴェニュー・バンドやシティに聴き取れるサウンドもまた堪らない魅力がありますね。


 シティの『NOW THAT EVERYTHING'S BEEN SAID』は1968年のリリースで唯一のアルバム。最初にニューヨークを思わせる音・・・なんて書きましたがシティは実は西海岸はロスで活動していたんだから、なんとも矛盾している。でもメンバーは皆もともとニューヨークで活動していたし、ブリル・ビルディングのソングライターとして長年培ってきた資質がニューヨークを思わせたのか?そうシティとはキャロル・キングが在籍していたバンドで、メンバーはキャロル・キングとチャールズ・ラーキー、ダニー・コーチマーの3人。ドラムにはジム・ゴードンも迎え、バンド編成になっているものの、やはりキャロル・キングの書く抜群に素晴らしい曲達がこのアルバムの最大の魅力なのには間違いないですね。基本的にはソロ・アルバムに近い質感をですが、バンド・サウンドとメンバーのハーモニーなんかはソロでは聴けないバンドならではの魅力ともいえるしね。


 本当に良い曲が多い。こんなに素敵なアルバムなのに当時は全く売れなかったそう。まだ『つづれおり』の特大ヒット以前のキャロル・キングなれど、数多くのヒット曲を世に送ってきたソングライターが在籍していたバンドだと思えば不運だったとしかいいようがない。1曲目の「SNOW QUEEN」はロジャー・ニコルスも取り上げたクールなナンバー。この曲の幻想的な美しさは本当に素晴らしいですよね。彼女の手による楽曲の中でもかなり上位に位置する人気曲なのでは?と思います。「NOW THAT EVERYTHING'S BEEN SAID」はスプリングが取り上げてたっけ?後のSSW期のキャロル・キングを思わせます。「MAN WITHOUT A DREAM」でリードを取るのはクーチかな。キャロル・キングのバック・コーラスがなんともハマってて良いです。その他、ほとんどの曲がキャロル・キングの手によるもの。その多くがゴフィンと作られたものながら、ここではすでに後のSSWテイストの楽曲が多くキャロル・キングの人気を一気に押し上げることになるソロ時代への布石を多く感じ取れます。本当に名盤!


夢語り

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