addsomemusic2006-10-07



 ミネソタには本当に素敵なSSWがたくさんいると思います。まぁミネソタだけに限らずアメリカ全土に居るんでしょうけど、日本人好みだったのかミネソタのアーティストに注目が注がれているだけなのかもしれませんけどね。今回取り上げるBILLY HALLQUISTもそんなミネソタの素晴らしいSSW。ミネソタはその土地柄のためなのか凛とした佇まいのアルバムが多いような気がしますが、このBILLY HALLQUISTの『TRAVELLIN'』はもっと暖かい肌触りのアルバム。ホノボノとしたメロディの中に確かな力強さも感じさせてくれる名盤だと思います。


 決してメジャーなアーティストではなく、けっこうなSSW好きでないと知らない存在だと思うんだけど、中古屋やネットオークションなどでは思いの他よく見かけます。それもまた安い(笑)。ジャケットそのままのとてもリラックスした素敵なアルバムなんで興味のある方はぜひ聴いてもらいたいです。1000円台で買えますので。


 アルバム・タイトル曲の「TRAVELIN'」がなかなか秀逸。ホーボーっぽさを感じさせるメロで、タイプの違う2つの曲をつなぎ合わせたかのような作り。アコギとメロトロンだけで歌われるしっとりとした「PASS ME BY」とかもなかなか染みる良い曲です。「ROSEPORT」も名曲。ゆっくりとBILLY HALLQUISTが歌いだすと、1フレーズごとに演奏する楽器が増えていきます。ハーモニカや12弦の響きが哀愁を漂わせていますね。こ曲でA面が終わりかと思うと再び「TRAVELLIN'」が聴こえだすんですよね。これがなんだかとても好きなんですよね。


 B面トップの「PEACHES」はギター、フィドルマンドリンバンジョーといったストリングスによる演奏となんかヘンなパーカッションの音がコミカルに響く曲。「BALLAD OF A POOR MAN」は8分を超える大作で、最初はしっとりとしたスロー・ナンバーをアコギをバックに歌ってるんだけど、間奏のアコギの演奏・・・と思いきやいきなりファズが炸裂してロック色が一気に高まる・・・と思いきや再びアコギのスロー・ナンバーに。これもまた2曲を強引に1曲につなぎ合わせたような曲ですね(笑)。


 アルバム通して楽しめます。でも特にA面の流れが個人的な好みも含めて最高に心地よいですね。書き忘れましたが、当然ミネソタミネアポリスのSOUND 80での録音。それから同郷のKEVIN ODEGARDがギターやコーラスで参加と書くと、このアルバムを未聴のコアなSSW好きの方には食指が動くのでは?