addsomemusic2008-12-18



 ただいまのBGMは岩井宏の1973年にリリースされた唯一のアルバム『30才』なり。これ、70年代日本のフォークの傑作の1枚だと思います。岩井宏はバンジョー奏者で、日本のバンジョー・プレーヤーとして最も大きな影響力をもっていたそう。岩井宏自体はピート・シーガーの影響が強いようです。岩井宏は高田渡加川良とよく一緒に演奏等をしていたそう。でもこのアルバムからは高田渡加川良のような強いメッセージもインパクトも感じない。日常を淡々と捕らえた姿は高田渡の世界と被るところもあるけど、もっと心地よさを感じるのは彼の人柄が溢れたような優しい歌声に起因するものかもしれないですね。


 このアルバムは岩井宏、加川良中川イサトの3人だけで作られたシンプルながら味わい深い音世界。バンジョーの弾き語りに加川良中川イサトのアコギが絡むだけの素朴な肌触りなんだけど、これが聴けば聴くほど染み入る名盤。飛びぬけた曲があるでもなく、淡々とした印象は強いんですけどね。高田渡の詩に曲をつけた「小さな歯車に油をさそう」や「ほおずき市」「かみしばい」あたりがベスト・トラックかな。特にほのかな温もりが伝わってくるような「ほおずき市」は個人的に大好きな1曲。


 所詮はフォーク・アルバム。地味なアルバムだけど、本当に良いです。大好き!


30才

30才