addsomemusic2006-04-16



 一番好きなアーティストは誰ですか?と聞かれればたぶんジョン・セバスチャンと答えるでしょう。今でこそジョン・セバスチャン好きを公言していて、先日来日したフリッツ・リッチモンド・トリビュート・ライブのためにわざわざ広島から上京したくらいですからね。それだけ大好きなジョン・セバスチャンがこの「人に歴史あり」のコーナーに現れないなぁと思っていた方もいるのでは?


 前回書いたジャズ期を経て再び王道である70年代アメリカものを聴き漁るようになりました。もうすでに大学は卒業していました。そしてようやくジョン・セバスチャンに出会うことになるのです。決して若い頃から愛聴していたアーティストというわけではないんですよね。


 ラヴィン・スプーンフルは高校生の時から聴いていました。買ったのはベスト盤1枚だけ。もちろんお気に入りだったんだけど、追いかけるほどの存在ではなかった。今では『DO YOU BELIEVE IN MAGIC』のアナログを何種類も集めてるようなバカですが、当時はその「魔法」にかかることがなかったんですよね。


 ジョン・セバスチャンのソロを初めて聴いたのは大学を出てから手にしたベスト盤でした。取り立ててスゴイとも思わなかったんだけど、今まであまり聴いてこなかったなんともノホホンとした和みのサウンドに少しづつ魅了されていったんですよね。そしてその後に『TARZANA KID』を聴き人生が変わりました(笑)。


 ハッキリいって『TARAZANA KID』はジョン・セバスチャンのベスト盤よりも内容が良かった。間違いなく私にはそう感じたんですよね。ジミー・クリフリトル・フィートのカバーも秀逸だったし、収録されたどの曲も素敵なグッドタイム・ミュージックだと感じたんですよね。学生の頃から大好きだったニルソンに通じるようなサウンドだと思った。これを機にSSWやグッドタイム・ミュージックといわれるサウンドに急速に傾いていったように思います。


 いままでこの「人に歴史あり」でSSWについて語ったことはなかったのは、当時SSWといわれる音にピンと来ていなかったから。熱いアメリカン・ロックは大好きだったけど、シンプルなSSWは地味に聴こえたんですよね。学生時代ってのは熱いサウンドのほうに流れちゃうものなんです。高校生のときに聴いたキャロル・キングジェイムス・テイラーも当時はそれほど良いとは思っていなかったもんなぁ(笑)。


 とにかく全ての曲が自分の好みにピッタリと合ってしまったというか、学生時代やジャズ期を経て更なる成長期に突入した私への道しるべとなったアルバムなんだと今では改めてそう思いますね。いままで自分で気がつかなかった本当に自分にしっくりくるサウンドをこの『TARZANA KID』を聴いて発見したといったほうが近いのかもしれません。


 ジョン・セバスチャンの虜となってしまった私はもちろんラヴィン・スプーンフルも愛聴していくようになります。その後、ただのポップ・ソングだと思っていた「DO YOU BELIEVE IN MAGIC」の魔法にかかるのに時間はかかりませんでした。