日本酒とジャズの相性はとても良いと思ってます。


 オーディオの前に置かれた小さな机。そこには、よく冷えた「貴」の特別純米と愛用の切子のグラス。肴は少しでいい。小鉢に柚子を加えたイカの塩辛。そして流れる音楽はZOOT SIMSの『THE MODERN ART OF JAZZ』。音楽と酒を愛する私のささやかな楽しみでございます。


 ズート・シムズは大好きなテナー奏者です。彼のアルバムは何枚も聴きましたが、枚数も多く彼のキャリアの一端を齧っただけでしょうが、それでも彼の50年代〜60年代の作品にはなんともいえぬ幸福感を味わうことが出来ます。


 まさにレスター・タング直系の音ながら白人らしい個性も感じられる。とてもくつろいだ音なんですよね。彼の作品の中でもこの1956年に録音された『THE MODERN ART OF JAZZ』は人気の1枚なんじゃないでしょうか。テナーのズートの他にはヴァルブ・トロンボーンボブ・ブルックマイヤー、ピアノのジョン・ウィリアムズ、ベースのミルト・ヒントン、ドラムのガス・ジョンスンとう編成。ズートはボブ・ブルックマイヤーとのコンビで他にもアルバムを残していますね。とても相性が良いです。


 「九月の雨」なんて曲もありますが、コートを着たズートの姿を収めたジャケは冬の雰囲気。この時期にピッタリな感じですが、アルバムはなかなかホットな演奏が収められています。ズートらしいスウィンギーなナンバーから哀愁溢れるバラードまで。どれも渾身の演奏で、ソロイストとしての彼の才能に感服するしかないわけですよ。ホント、よいアルバムです。


 音楽こそが最高の酒の肴かもしれませんね。