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ここ数日、畠山美由紀の『SUMMER CLOUDS, SUMMER RAIN』ばかり聴いてます。リリースされたばかりの新作なんですが、これがなかなか良かったもんでね。日本の女性ボーカリストで1番好きなのは誰?と聴かれたら、たぶん即答で彼女の名前を出すでしょう。もう10年以上彼女の歌を聴いています。
最近の日本のディーヴァ系ってのは、やたら高音が出たりとか、そんなのが多い。彼女はもっと落ち着いた低い声質で、表現力の巧みさが最大の魅力かな。楽曲の良さを際立てるシンガーだと思います。自身で曲も書く才能の持ち主ではあるんですが、これに関しては未だに決定打がない(ポート・オブ・ノーツの頃は名曲多し)。だからカバー曲集なら曲の粒が揃ってるんでじゅうぶん楽しめるんだけど、オリジナル・アルバムではやや不完全燃焼感は否めないんですよね。
新作『SUMMER CLOUDS, SUMMER RAIN』も企画盤としてとらえたほうがいいかも。まさに畠山美由紀とジェシー・ハリスとのコラボレーション・アルバムといった趣き。ジェシー・ハリスはあのノラ・ジョーンズが歌って大ヒットした「DON'T KNOW WHY」の作者ですね。彼はこの曲でグラミーも獲りました。そんなジェシー・ハリスのアコギだけで全曲歌われていて、曲によってハーモニカやパーカッションが加わる程度というシンプルな音世界。収録された約半数はジェシー・ハリスによる曲だし、彼女のオリジナルは少ない。他にはビートルズやニール・ヤング、ビリー・ホリデイらのカバーもあって、それらが皆同じシンプルな作りで飾り気のない素直な音として心地よく耳に届きます。
表現力のあるシンガーには時折、「技巧」に走ってしまう時があるんですよ。彼女もそうで、アルバムの中には個人的には「ちょっと・・・」って感じる時も確かにありました。でも今回のアルバムには全くそれがない。「素直」な彼女のボーカルが優しく耳に入るんですよ。まさに「自然体」の畠山美由紀の歌が堪能できるアルバムだと思います。
サウンドがアコギだけなんでシンプルです。曲のレベルもどれも悪くないんだけど、やはり「これだ!」といえるような決定的な曲があればものすごい名盤になれたのになぁ・・・とちょっと残念。さすがにジェシー・ハリスが完全バックアップしてるんだから思い切って「DON'T KNOW WHY」を収録しちゃえばよかったのに!・・・なんて思わなくもない。それじゃいかにも「売れ線」狙い過ぎで、かえってアルバムの統一感がなくなるかな?いや、個人的にはそうでもないと思うんだけどね。実際に彼女は『FRAGILE』で「DON'T KNOW WHY」をカバーしてるんだから!いま、その畠山美由紀バージョンの「DON'T KNOW WHY」を改めて聴いてみたけど全然違和感ないぞ。そりゃそうだ、このアルバム収録曲の多くと同じ作者なんだからね。
なんかダラダラと書いてしまいました。結局良いのか悪いのかよくわかんない書き方ですが、かなり良いアルバムです。間違いなく彼女の代表作といえると思います。
- アーティスト: 畠山美由紀
- 出版社/メーカー: AVEX GROUP HOLDINGS.(ADI)(M)
- 発売日: 2007/07/04
- メディア: CD
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