addsomemusic2008-04-29



 昔は誰も知らなかったロジャー・ニコルズ。今では『ROGER NICHOLS & SMALL CIRCLE OF FRIENDS』はソフト・ロックの定番アイテムとして広く認知されています。でも彼のソフト・ロックとしての評価は日本だけかな?海外ではカーペンターズやスリー・ドッグ・ナイトのヒット曲を書いたソングライターとして評価されていると思います。


 ロジャー・ニコルズ関連のアルバムで1番のお気に入りは間違いなく、ROGER NICHOLS & PAUL WILLIAMSの『WE'VE ONLY JUST BEGUN』でキマリです。1970年に制作されたアルバムですが、これが普通のアルバムとはちょっと違う。これ、デモ・オンリーとして制作されています。まぁ当時売り出し中だったロジャニコとポール・ウィリアムスの楽曲をまとめて音楽関係者に配布したもの。特に職業作曲家あたりにはこのテのデモ・アルバムが時折見受けられます。


 まさにデモなだけあって、シンプルなアレンジで簡単に作られた印象。一部の曲でハル・ブレインやジョー・ポズボーンも参加しているようですが、ほとんどがロジャニコによるピアノを中心としたサウンドにポール・ウィリアムスによるボーカルといった作り。もちろんここでの主役は二人によって書かれた珠玉の名曲達だということには間違いないですね。ややクセのあるポール・ウィリアムスのボーカルには好みが分かれるかもしれませんが、なかなか味わい深いですよ。彼の1st『SOMEDAY MAN』に収録されている曲もありますが、曲によってはこちらのデモのボーカルのほうが良いのでは?なんてのもありますから。


 アルバム・タイトル曲はもちろんカーペンターズの大ヒット曲。この曲でふたりは一躍表舞台に立ったと言ってもいいでしょう。これ、本当に名曲です。他にも同じく「LET ME BE THE ONE」「I KEPT ON LOVI NG YOU」「OUT IN THE COUNTRY」といったお馴染みの楽曲が目白押し。中でもSMALL CIRCLE OF FRIENDS時代の「THE DRIFTER」のポール・ウィリアムス・バージョンは感動の1曲ですね。


 デモ・オンリーということもあり、オリジナルは激レア。だけど我が日本ではCD化されてます。これ奇跡でしょ。海外では未だに未CD化だったと思うけど。それくらい日本ではロジャニコが愛されてるんでしょうね。


 ロジャニコの代表作『ROGER NICHOLS & SMALL CIRCLE OF FRIENDS』はもちろん名盤だと思っているし、好きなアルバムなんだけど、SMALL CIRCLE OF FRIENDSの本当に素晴らしいのってこのアルバムじゃなくってアルバム未収の数枚のシングル盤なんですよね(CDにはボートラで収録されてます)。「THE DRIFTER」をはじめ、「LOVE SONG, LOVE SONG」とか「TRUST」とか震えるくらい素晴らしいです。まぁ基本的に私が地味好みってのもあるけど、そんなわけで私的名盤は楽曲の素晴らしさから『WE'VE ONLY JUST BEGUN』ということになるわけです。


愛のプレリュード~ソングス・コンポーズド・バイ・ロジャー・ニコルズ&ポール・ウィリアムス

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